旅行の計画を立てようとすると、行き先、ホテル、食事、移動手段まで決めることが多くなります。調べるほど候補が増え、「結局いつもの場所に落ち着いた」という経験がある人も少なくないでしょう。
そんな旅の決め方を少し変えてくれるのが、JR西日本が販売してきた「サイコロきっぷ」です。
名前の通り、サイコロを振って行き先を決める仕組みを取り入れたきっぷで、利用者が自分で目的地を選ぶのではなく、偶然に旅先が決まります。行き先には複数の候補が設定され、出た目に応じて目的地が決まるため、旅行前からちょっとしたイベントを楽しめるのが特徴です。
旅の目的地を「選ばない」面白さ
旅行では、人気の観光地や以前訪れてよかった場所を選びがちです。もちろん安心感はありますが、知らない場所へ出かける機会は減ってしまいます。
サイコロきっぷでは、普段なら候補に入れなかった地域が旅先になる可能性があります。目的地が決まった後に観光情報を調べるため、下調べの順番が通常の旅行とは逆になるのも面白いところです。
「ここには何があるのだろう」と調べていくうちに、地元の食文化や小さな観光施設、季節の風景に興味が湧いてきます。最初から強い目的がなかったからこそ、現地での発見が印象に残ることもあります。
向いているのは、予定を詰め込みすぎない人
このきっぷを楽しみやすいのは、旅に少しの偶然を取り入れたい人です。
有名スポットをすべて巡ることよりも、知らない駅で降りて歩くこと、地元の店に入ること、予定外の景色に出会うことを楽しめる人には相性がよいでしょう。友人同士でサイコロを振れば、行き先が決まる瞬間そのものが旅の思い出になります。
一方で、特定の施設に必ず行きたい人や、移動時間を細かく管理したい人には、使いにくく感じられる場合があります。行き先を選べないことが商品の魅力である一方、自由度の制限にもなるからです。
購入前に確認したいこと
サイコロきっぷは、いつでも同じ条件で購入できる通常の乗車券とは異なり、販売期間や利用期間、対象となる出発地、行き先、価格、購入方法などが企画ごとに変わります。過去に販売された内容が、そのまま現在も利用できるとは限りません。
利用を検討するときは、JR西日本の公式案内で次の点を確認しましょう。
- 販売期間と利用期間
- 出発駅や対象エリア
- サイコロを振る方法と行き先の決定時期
- 指定席・自由席などの利用条件
- 途中下車や変更、払い戻しの扱い
- 子ども用きっぷや同行者分の購入条件
特に注意したいのは、きっぷ代だけで旅費がすべて決まるわけではないことです。宿泊費、現地の交通費、食事代、観光施設の入場料なども必要になります。行き先が決まった後に宿を探す場合、繁忙期は選択肢が少なくなることもあるため、日程には余裕を持たせたいところです。
サイコロきっぷを旅のきっかけにする
行き先を偶然に任せる旅は、効率のよい旅行とは少し違います。移動の負担や、想像していた以上の下調べが必要になることもあります。
それでも、目的地を自分で決めることに疲れたときには、よい選択肢になり得ます。旅先を決める楽しみをサイコロに預けることで、知らなかった土地に目を向けられるからです。
販売状況や条件を確認したうえで、予定を詰め込みすぎず、「せっかくなので行ってみる」という気持ちを持てるなら、サイコロきっぷは普段の旅行とは違う時間をつくってくれるでしょう。