この試合の最大の焦点は、なんといっても中盤の攻防にある。レアル・マドリードが誇る攻撃的ミッドフィルダーに対し、ソシエダの持ち味であるプレス耐性とポジショニングの妙がどう機能するか。ソシエダの代名詞とも言える「ショートパスを繋いで相手をはがす」スタイルは、マドリードの選手たちに持て余されることが多く、過去の対戦でも何度も相手のイライラを誘ってきた。
また、両チームのウイング対決も見逃せない。特に注目すべきは、ソシエダの切り札であり、日本代表でもおなじみの**久保建英**選手のパフォーマンスだ。右サイドからカットインして放つ左足のシュート、そして相手SBとの駆け引きは、ベルナベウの大観衆を黙らせる力を十分に持っている。対するマドリードはドリブルで仕掛ける若手や屈強なDF陣が待ち構えており、この一騎打ちが試合の流れを大きく左右することになるだろう。
リーグ戦での勝ち点を考えれば、ホームで負けられない戦いであることは明白だ。マドリードの攻撃陣は、決定力においてはリーグ随一と言える。しかし、今シーズンの彼らには明確な“弱点”も存在する。それは、ハイプレスをかけてくる相手に対して、最終ラインの背後を狙われると脆さを見せることだ。ソシエダは前線からの守備強度が非常に高く、マドリードのビルドアップに激しいプレッシャーをかけてくる。ここでボールを失い、速攻を食らうシーンが増えれば、ホームであっても厳しい展開は免れない。
さらに、守備陣の負傷離脱が続いている現状は、アンチェロッティ監督にとって頭の痛い問題である。ベストメンバーを組めない中で、彼らがどうバランスを取るのか。コンディション調整も含めて、ベンチメンバーの出来がこの試合の明暗を分けると言っても過言ではない。
一方、アウェイのソシエダは「如何にマドリードの時間を削るか」がキーポイントになる。ボールを保持し、テンポを落としながら自分たちのリズムを作れれば、チャンスは必ず訪れる。特に、マドリードが攻めあぐねて後方に下げたボールを、素早い出足で奪い返すことができれば、金星の可能性は一気に高まる。
過去の対戦でも、ソシエダはマドリード相手にポゼッションで上回る試合が多々あった。彼らは相手の“個の力”に対して、“組織力”で対抗する術を熟知している。セットプレーも大きな武器であり、身長のあるDF陣が打点の高いヘディングでゴールを狙ってくる。マドリードとしては、安易にファウルを犯さないことも重要な戦略となるだろう。
マドリード側のキーマンは、やはり**ジュード・ベリンガム**だろう。ボックス内への侵入と、相手DFライン間でのボール受けどころは世界最高クラスである。ソシエダのアンカーが彼をどうマークするか。ここを封じられると、マドリードの攻撃は単調になりがちだ。逆にソシエダは、前述の通り**久保建英**の出来が全てと言ってもいい。彼がボールを持った時に、どれだけ怖さを感じさせるか。マドリードのDFが、彼の仕掛けを止めるために後手を踏めば、PKや直接FKのチャンスも生まれてくる。
戦前の予想としては、マドリードがボールを持ち、ソシエダが鋭いカウンターを狙う構図である。しかし、ソシエダも臆せずにパスを回して主導権を握ろうとするだろう。試合は一進一退の攻防が予想され、フィジカルコンタクトの強さも問われる一戦となる。
個の力と決定力の高さでいえば、やはりマドリードがわずかに上回っている。しかし、ソシエダの組織的な守備と精度の高い攻撃は、どんなビッグクラブ相手でも崩れることがない。ホームのアドバンテージを活かしたいマドリードだが、ソシエダが粘り強い守備を見せれば、スコアはそう動かない可能性も十分にある。総合的に見て、**2-1あるいは1-1**といった僅差の勝負になることが濃厚だ。もしソシエダが先制点を奪えれば、試合はさらに面白くなることは間違いない。
結果もさることながら、この試合の本当の価値は、二つの異なるサッカースタイルがぶつかり合う“知的興奮”にある。技術と速さだけを追求する現代サッカーの中で、ソシエダが大切にしている“スペインらしいポジショナルプレー”と、マドリードの“勝利を追求するリアリストなサッカー”。そのどちらが勝つのか。戦術眼のあるファンであればあるほど、目が離せない90分間になるだろう。
日本人ファンにとっては、世界最高峰の舞台で躍動する久保建英の姿を見られるまたとない機会でもある。厳しい戦いになることは間違いないが、彼が大一番で結果を残す下剋上のストーリーが生まれることを期待して、一サッカーファンとして試合開始のホイッスルを待ちたい。