電通総研は、正式名称を「電通総研株式会社」といい、電通グループの持株会社である電通グループ株式会社の傘下にあります。もともとは電通の情報システム部門や研究開発部門が独立する形で設立されましたが、現在ではグループ全体のDX推進を支える中核企業として成長しています。
設立は2000年頃と比較的新しいですが、そのルーツは電通の内部組織にまで遡ります。広告業界のデジタル化が加速する中で、IT専門部隊をグループ会社として独立させたことが始まりです。その後、幾度かの合併・再編を経て、現在の「電通総研」というブランドに統一されました。2020年には社名を「電通総研」に変更し、デジタル領域へのコミットメントを明確に打ち出しています。
電通総研の事業は大きく分けて以下の3つの領域に分類できます。
**1. ITソリューション事業**
基幹システムの開発からクラウド移行、アプリケーション開発、インフラ構築まで、幅広いITサービスを提供しています。特に、マイクロソフトやAWS、Google Cloudといった主要クラウドプラットフォームのパートナー認定を受けており、最新のテクノロジーを活用した提案が可能です。また、セキュリティ診断や運用監視サービスも行っており、企業のシステム全体を守る体制を整えています。
**2. データ・AI活用事業**
広告・マーケティング領域で培ったデータ分析のノウハウを活かし、顧客データ基盤の構築、AIモデルの開発、データドリブンなマーケティング施策の支援を行っています。電通グループの広告代理店としての知見と、テクノロジーを掛け合わせた独自のソリューションが強みです。例えば、顧客の購買データを分析して最適なクーポンを配信するシステムや、Webサイトの行動ログから離脱原因を特定する分析ツールなど、実用的なサービスが揃っています。
**3. コンサルティング・DX推進事業**
単なるシステム導入ではなく、業務プロセスそのものを見直し、組織全体のデジタル変革を推進するコンサルティングを提供しています。電通グループならではのマーケティング視点と、エンジニアリングの両面から支援できるため、単なるITベンダーとは一線を画します。具体的には、業務改革のロードマップ策定、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)導入、ワークフロー改革など、現場の課題に寄り添った提案が特徴です。
電通総研は、電通グループという巨大な広告・コミュニケーション企業の中で、唯一「テクノロジー」を専門とする会社です。グループ内には、電通デジタルや電通パブリックリレーションズなど、様々な専門会社がありますが、電通総研は特に「ITの力でビジネスを変える」ことに特化しています。
そのため、グループ各社が持つクライアント課題に対して、テクノロジー面からソリューションを提供する「社内のシステムインテグレーター」としての役割も担っています。例えば、大手メーカーのグローバルサイトのリニューアルプロジェクトでは、電通グループのクリエイティブチームがデザインを担当し、電通総研がシステム構築と運用を担当する、といった連携が日常的に行われています。
電通総研の最大の強みは、「広告・マーケティング業界の深い理解」と「最新テクノロジーへの対応力」の両立です。一般的なIT企業は、システムは作れてもマーケティングの現場感覚に乏しい場合があります。一方、電通総研は電通グループの一員として、常にクライアントのビジネス成果と直結した提案が求められる環境で育ってきました。そのため、単なるスペック重視ではなく、「このシステムを導入することで、売上や顧客満足度にどう貢献するか」という視点を持っている点が大きな違いです。
また、グループのネットワークを活かして、グローバル案件にも対応可能です。特にアジア太平洋地域を中心に、海外拠点を持つ企業のシステム導入・運用支援の実績が豊富にあります。例えば、日系企業の東南アジア進出を支援する際、現地の法律や商習慣に合わせたシステム構築と、現地スタッフへのトレーニングまでワンストップで提供できる体制が整っています。
実際にどのようなサービスを提供しているのか、具体的な例を挙げてみましょう。
- **顧客データプラットフォーム(CDP)の構築**:複数のチャネルに分散した顧客データを統合し、まるごと分析できる基盤を構築。小売業のクライアントでは、会員データと購買履歴、Web行動ログを組み合わせて、パーソナライズされたメール配信を実現しました。
- **クラウド移行プロジェクト**:オンプレミスで運用していた基幹システムをAWSに移行し、運用コストを30%削減。加えて、移行後の運用自動化も支援し、担当者の負担を軽減しました。
- **AIチャットボットの導入**:コールセンターの問い合わせをAIで一次対応するシステムを構築。応答時間を平均2分から30秒に短縮し、顧客満足度が向上した事例があります。
- **RPAによる業務効率化**:経理部門の請求書処理や、人事部門の勤怠集計など、定型的な作業をRPAで自動化。年間で数千時間の工数削減に成功しました。
電通総研は、ITエンジニアやコンサルタントにとって非常に魅力的な職場です。まず、プロジェクトの規模が大きく、かつ多様性に富んでいる点が挙げられます。広告代理店のクライアントは業種を問わず、自動車、金融、食品、エンターテインメントなど、さまざまな業界のDX案件に携わることができます。また、グループ内のクリエイティブ職や営業職との連携も多く、ITだけではない幅広い視野を養える環境です。
さらに、最新技術へのキャッチアップが求められるため、社内研修や資格取得支援制度も充実しています。クラウド認定資格やAI・データ分析に関する資格を取得する社員が多く、技術力向上に積極的に投資している会社です。中途採用も積極的に行っており、特にクラウドエンジニアやデータサイエンティストの需要が高まっています。
電通総研は、電通グループのデジタル変革を技術面から支える専門企業です。広告・マーケティングの知見とITの力を持ち合わせ、クライアントのビジネス成長に直結するソリューションを提供しています。単なるシステム開発会社ではなく、コンサルティングから実装、運用まで一貫して支援できる総合力が最大の強みです。
これからDXを推進しようとしている企業にとって、電通総研は頼りになるパートナーの一つと言えるでしょう。また、ITエンジニアやDXコンサルタントとしてキャリアを考えている方にも、やりがいのあるフィールドが広がっています。ぜひ一度、電通総研のサービスや事例を詳しく調べてみてください。