堺雅人といえば、多くの人が「倍返しだ!」という熱を帯びた怒声か、あるいは『リーガルハイ』の古美門研介が浮かべる棘のある冷笑を思い浮かべるだろう。でも、画面の上で彼が何気なく弁当を頬張りながら台詞を濁してみせたり、考え事をしているときに視線が少しだけ泳いでいる瞬間を、じっくり見たことがあるだろうか。そこには、あの鋭さや迫力とは別の、不思議なほど「抜けている」よ
堺雅人という役者を思い浮かべると、視聴者の記憶はすぐ分かれる。『半沢直樹』の怒りを内に溜めたような声、古美門研介の早口と過剰な笑い、山南敬助の静かな悲しみ。どれが本人の顔なのかと問われても、答えは簡単には出ない。むしろ、その答えの出しにくさこそが彼の持ち味だろう。
彼は派手な自己演出で存在感を主張するタイプではない。インタビューや公の場での語りが、作品そのも