東京・新宿区千駄ヶ谷に位置する国立競技場は、日本のスポーツの聖地と呼びかけられる国家的事業のスタジアムです。東京2020オリンピック・パラリンピックのメイン会場として世界的に知られるようになりましたが、実はその歴史は半世紀以上前にさかのぼります。オリンピック後も現在も現役のスタジアムとして活用され、一般の人でもツアーに参加して内部を見学できる点が大きな特徴です。この記事では、国立競技場の歴史的背景から建築的な魅力、観戦や見学の楽しみ方、アクセス方法まで、訪問前の下調べに役立つ情報をまとめて解説します。
旧国立競技場から新国立競技場へ、受け継がれてきた歴史
現在の国立競技場の前身となる国立霞ヶ丘競技場は、1958年に完成しました。翌1964年の東京オリンピックでは開会式・閉会式の舞台となり、聖火を手に国立競技場のトラックを駆けた坂井義則さんの姿は、多くの人の記憶に残っています。以降、陸上競技やサッカー、ラグビーの国際試合など、日本スポーツの中心として半世紀にわたり利用されてきました。
老朽化が進んだことを受け、2020年東京大会に向けて建て替えが決定。当初のザハ・ハディド氏による設計案は工費の問題などから白紙撤回され、最終的に隈研吾氏を中心とする設計チームの案が採用されました。旧スタジアムは2015年に解体され、新スタジアムは2019年に竣工。同年12月の完成式典を経て、翌年のオリンピック・パラリンピックで開会式、閉会式、陸上競技、サッカーの会場として使用されました。
「木と緑のスタジアム」と呼ばれる理由
新国立競技場の最大の特徴は、そのデザインにあります。隈研吾氏が提唱したのは「杜(もり)のスタジアム」というコンセプトです。スタジアムの周囲には樹木が植えられ、建物全体が周辺の緑豊かな環境に溶け込むよう設計されました。
外壁や観客席の軒下には、全国47都道府県で生産された木材が使用されています。これは震災からの復興への願いも込められた取り組みで、各都道府県の木材がスタジアムの随所に使われている点は、建築ファンでなくても興味深いポイントです。また、軒の形状は奈良の法隆寺の五重の塔をイメージしたとも言われており、和の建築文化を現代的に解釈したデザインが高く評価されました。
機能面でも工夫が凝らされています。屋根の隙間や木陰から風が通り抜ける構造により、猛暑時期でも観客が比較的過ごしやすい環境がつくられています。収容人数は約6万人で、イベント形式によっては約6万8000人規模まで対応可能です。
オリンピック後も現役で活躍するスタジアム
国立競技場はオリンピックで終わった施設ではなく、現在も年間を通じてさまざまなイベントが開催されています。代表的なものが、サッカーの天皇杯 JFA 全日本サッカー選手権大会の決勝戦です。日本サッカーの一年の締めくくりとして、毎年このスタジアムで王者が決定します。
そのほか、陸上競技の日本選手権、ラグビーのトップリーグ戦、Jリーグの公式戦(FC東京・東京ヴェルディのホームゲームとして利用される試合もあります)、日本代表の国際親善試合など、多種多様なスポーツイベントの会場となっています。開催スケジュールは日本スポーツ振興センターの公式サイトで確認できるため、観戦を考えている方は事前にチェックしておくとよいでしょう。
見学ツアーでしか味わえない体験
国立競技場の魅力は、イベント開催日以外でもスタジアムツアーに参加できることです。ツアーでは通常、選手が実際に歩く選手入場ゲート、ピッチレベル、選手更衣室、監督・選手会見に使われる記者会見室など、一般観戦では立ち入れないエリアを見学できます。オリンピックで使用された聖火台の前で記念撮影ができるスポットも人気です。
敷地内にはスポーツミュージアムが併設されており、旧国立競技場の時代からの歴史や東京2020大会の記録、実際に使用された資料などを展示しています。スタジアム見学とあわせて回れば、日本のスポーツ史を立体的に感じられるはずです。ツアーは基本的に事前予約制で、イベント開催日や準備期間は実施されないため、参加を希望する場合は公式サイトで空き状況を確認してから予約するのが確実です。
ツアーに参加しなくても、スタジアムの外周は自由に散策できます。木造の軒が連なる外壁沿いを歩きながら、建築のディテールを間近で眺めるだけでも十分に楽しめます。夜間はライトアップされた姿が見られることもあり、新宿方面からの散歩コースとしても人気があります。
アクセス方法と周辺の観光スポット
国立競技場への交通の便は非常に良好です。最寄りとなるのは都営大江戸線の国立競技場駅で、駅から徒歩数分でスタジアムに到着します。JR中央線を利用する場合は、千駄ヶ谷駅が最寄りで、こちらも徒歩数分です。信濃町駅からも徒歩圏内にあり、東京メトロ銀座線の外苑前駅からも歩いてアクセスできます。
イベント開催時は駅や周辺道路が混雑するため、余裕をもって到着するか、少し離れた駅から歩くのがおすすめです。逆にイベントのない日は静かな環境でゆっくり散策できます。
スタジアム周辺には見どころが豊富です。北側には明治神宮の広大な森が広がり、参拝とセットで訪れる観光客も多くいます。東側の神宮外苑地区には絵画館があり、銀杏並木の名所としても知られています。西側には新宿御苑があり、季節の花を楽しめる都心のオアシスです。国立競技場を起点にすれば、歴史的建造物・緑地・都心の賑わいを一度に巡る散歩プランが立てられます。
訪問前に知っておきたいポイント
初めて訪れる方のために、押さえておきたい点をまとめます。まず、観戦目的の場合はチケットの種類によって入場ゲートが異なるため、チケットに記載された情報を事前に確認してください。夏場のデイゲームでは日差しが強くなる時間帯があるため、帽子や飲み物の準備があると安心です。スタジアムは風通しを考慮した設計とはいえ、満員時は蒸し暑く感じることもあります。
見学ツアーを計画する場合は、日程の自由度が高い平日の方が予約を取りやすい傾向があります。天候に左右されず屋内中心で進行するため、雨の日でも楽しめるアクティビティです。また、ミュージアムのみの利用が可能な日もあるため、時間のない方は展示だけでも訪れる価値があります。
日本のスポーツ文化に触れる場所として
国立競技場は単なる大規模施設ではありません。1964年の東京オリンピックから2020年大会、そして現在まで、日本のスポーツの記憶が積み重なってきた場所です。木と緑に包まれたデザインは、都市の真ん中にありながら落ち着きのある空間をつくり出しています。
スポーツ観戦が目的でも、建築や歴史に興味があるだけでも、あるいは新宿・明治神宮周辺の散策の途中でも、国立競技場を訪れる価値は十分にあります。事前にイベント日程やツアー予約の状況を確認し、自分に合った形でこのスタジアムを楽しんでみてください。訪れた瞬間から、日本スポーツの聖地と呼ばれる理由が実感できるはずです。
国立競技場の魅力を徹底解説|歴史、建築の見どころ、見学ツアーからアクセスまで
Source: HotArticle
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