千葉市美浜区の海側に、イオンモール幕張新都心はある。名前だけを見れば、巨大なショッピングモールが一棟どんと建っている風景を想像する。ところが実際に着いてみると、目の前に広がるのは一つの箱ではない。性格の違ういくつかの建物が、屋外の通路でゆるくつながっている。この前提を知らずに出かけると、最初の10分でつまずく。たとえば、駐車場に車を停めたはいいが、目当ての店がまったく別の建物にあると気づく、といった具合に。
四つに分かれている、という出発点
この施設は、グランドモール、ファミリーモール、アクティブモール、ペットモールという四つの区域で構成されている。2013年12月の開業時から、この分割の考え方は変わっていない。
グランドモールは服や雑貨、飲食、シネマなど、いわゆる「買い物に来た人が最初に思い浮かべるもの」が集まる。ファミリーモールは子ども向けの色が濃く、アクティブモールはスポーツやアウトドアの比重が高い。ペットモールは、その名のとおりペットと一緒に過ごしやすい区域だ。
全部を一つの巨大な平面に詰め込めば、動線が破綻する。だから用途で分けた。理屈はそれだけのことだが、来館者にとっては「今日はどこに行くのか」を先に決めなければならないという意味を持つ。
移動は屋外に出る
区域どうしの行き来は、屋内で完結しない。デッキや外の通路を歩くことになる。
これが案外、体験を左右する。雨天なら傘が要るし、真夏や真冬は数分の移動でも体感が変わる。小さい子ども連れやベビーカーの場合は、この数分がじわりと効いてくる。だからこそ、行き来を前提にしない組み立てのほうが楽だ。午前はグランドモール、昼からファミリーモール、といった具合に区切るよりも、「今日はこの区域だけで済ませる」と決めたほうが満足度は高い。
車で行くなら、停める場所がほぼすべて
駐車場は数千台規模で、基本的に無料で使える。ただし、停めた位置が目的の区域から遠いと、それだけで体力を使う。
だから、出発前に「行きたい店がどのモールにあるか」を確認し、そこに近い駐車場を狙う。休日は午前中の到着が結果的にいちばん楽で、昼を過ぎると駐車場の入り口で待たされることも珍しくない。土日の午後、幕張メッセで大きなイベントがある日は、周辺道路の混み方が普段とまるで違う。これは頭に入れておいたほうがいい。
電車なら、最寄りは海浜幕張ではない
2023年に開業したJR京葉線の幕張豊砂駅が、いまは最も近い。改札を出てすぐの距離で、車を使わない人にとっては選択肢が大きく変わった。海浜幕張駅からはバスで向かう形になる。
海浜幕張駅そのものは、幕張メッセや周辺ホテルへの玄関口として長く使われてきた場所で、買い物目的だけで降りる人は以前より減っているかもしれない。それでもイベントの前後に立ち寄る人は多く、時間帯によって駅もバスも混む。
「全部見よう」としない
専門店の数は300を超える。一日で回るのは現実的ではないし、回れたとしても何も覚えていない。
食事の場所も各区に散っている。フードコートは便利だが、休日の昼時は席を探すだけで一苦労する。「何を買うか」だけでなく「どこで食べるか」まで決めておくと、当日の迷いがかなり減る。
買い物だけで一日を使わない
この場所は、幕張メッセや海浜幕張の街、近くの公園と地続きの関係にある。買い物を主目的にするより、用事を組み合わせたほうが一日の密度は上がる。逆に、買い物だけを目的に朝から晩まで滞在すると、広さに疲れて終わる。
広さはこの施設の売りだが、利用者がその広さに合わせて歩く必要はない。むしろ「今日はここだけ」と決めた人のほうが、この場所をうまく使っている。巨大なモールを想像して出かけると肩透かしを食うが、四つの小さな街の集まりだと思って向かえば、案外すんなり馴染める。