まず、オルソンの基本的な情報を確認しておきたい。
- 生年月日:1994年3月29日
- 出身地:アメリカ合衆国ジョージア州アトランタ
- 投打:左投げ左打ち
- 身長:約196センチ
- ポジション:一塁手
- 経歴:パークビュー高校から2012年のMLBドラフトでオークランド・アスレチックスに入団
- メジャーデビュー:2016年
- 現所属:アトランタ・ブレーブス(背番号28)
身長約196センチの長身に左の強打という、一塁手として理想的な体格を持つ選手だ。ただしオルソンの価値は長打だけにとどまらず、ゴールドグラブ賞に輝いた守備力と、ほぼ全試合に出場できる耐久性にもある。
アスレチックス時代 —— ジョージアの強豪校からメジャーへ
オルソンはアトランタ近郊のリルバーンで育ち、地元の名門パークビュー高校でプレーした。2012年のMLBドラフトでオークランド・アスレチックスから1巡目(全体47位)指名を受けてプロ入り。マイナーリーグでは長打力と一塁守備を武器に順調に階段を上がり、2016年にメジャーデビューを果たした。
本格的な台頭は2018年である。この年は29本塁打を記録し、一塁手としてゴールドグラブ賞を初受賞。2019年には36本塁打を放ち、ゴールドグラブ賞も連続受賞と、攻守両面でチームの中心としての地位を固めた。アスレチックスが2018年から2020年まで3年連続でポストシーズンに進出した時期、オルソンはその主軸として存在感を発揮している。
短縮シーズンとなった2020年は60試合で14本塁打。そして2021年には39本塁打を記録し、オールスターに初選出された。リーグを代表する左の大砲としての評価を、この頃までに確実なものにしている。
一方で、この時期のアスレチックスは球団の経営問題と球場問題が表面化し、戦力の放出が進んでいた。オルソンもその流れの中で移籍することになるが、アスレチックスが2024年シーズンを最後にオークランドを離れたことを考えると、彼は「オークランド時代の末期を象徴する選手」の一人として、古くからのファンの記憶に残る存在といえる。
故郷アトランタへの帰還 —— ブレーブス移籍の経緯
オルソンのキャリアを大きく左右したのが2022年3月の移籍である。当時ブレーブスの正一塁手だったフレディ・フリーマンがロサンゼルス・ドジャースへ移り、一塁のポジションが空席となった。ブレーブスは直ちに補強に動き、アスレチックスとのトレードでオルソンを獲得。アスレチックス側にはクリスチャン・パーチェやシェイ・ランジェリアーズら計4人の若手選手が移った。
この移籍は、オルソンにとって生まれ育ったアトランタへの帰郷でもあった。少年時代からブレーブスのファンとして育った彼にとって、地元球団のユニフォームを着ることは特別な意味を持つ。ブレーブスも移籍と同時にオルソンとの契約延長に合意し、2029年までの8年・総額1億6800万ドルという大型契約で、球団の新たな主砲としての体制を整えた。
移籍1年目の2022年は34本塁打・103打点を記録。フリーマンの退団による戦力低下への懸念を大きく払拭し、ブレーブスの地区優勝に貢献した。
球団記録を塗り替えた2023年シーズン
オルソンのキャリアハイとなったのが2023年である。この年、彼は162試合すべてに出場し、打率.283、54本塁打、139打点という成績を残した。54本塁打はメジャー全体のトップであり、139打点も両リーグを通じて最多。本塁打王と打点王の二冠を達成したのである。
ブレーブス球団のシーズン本塁打記録は、2005年にアンドリュー・ジョーンズがマークした51本だった。オルソンの54本はこれを更新する球団新記録となり、ブレーブスの選手がメジャーの本塁打王に輝くのは2005年のジョーンズ以来の快挙となった。同年のブレーブスは、ロナルド・アクーニヤ・ジュニアがMVPに選出されるなど、リーグ史上でも屈指の破壊力を誇る打線を形成しており、オルソンはその中軸にしっかりと位置していた。シーズン終了後にはシルバースラッガー賞を受賞し、MVP投票でも上位に名を連ねている。
翌2024年は打率こそ.250前後まで下がったものの、29本塁打を記録するなど、長打力は変わらず維持。チームの主軸としての役割を続けている。
プレースタイルの特徴 —— 長打・選球眼・堅守・耐久性
オルソンの最大の武器は、なんといっても左打ちの長打力である。引っ張る方向だけでなく、逆方向へも強い打球を運べるため、投手が配球で封じにくい。2023年の54本塁打も、プル側とレフト方向にバランスよく分散しており、偶然の爆発ではないことが数字からもうかがえる。
二つ目の特徴が選球眼だ。四球を多く稼ぎ、カウントを有利に進めてから始球を捉える打席の組み立てが得意で、打率が下がった年でも出塁率の底は崩れにくい。三振の多さが課題として挙げられることもあるが、長打力と出塁能力のバランスを考えれば、中軸打者としての生産性は非常に高い。
三つ目が守備力である。長身ながらグラブさばきは柔らかく、短いバウンドの処理やファウルライン際への対応に定評がある。アスレチックス時代の2018年と2019年にはゴールドグラブ賞を受賞しており、「打てる一塁手」ではなく「守備でも貢献できる一塁手」という評価が確立している。一塁手は守備機会が多く地味なポジションだが、オルソンは毎日イニングをこなしながら失点を防ぐ役割を確実に果たしてきた。
そして四つ目が耐久性だ。2023年には全162試合に出場するなど、ケガによる長期離脱が少なく、チームは毎日の試合で主軸を固定できる。現代のMLBではローテーションを組んで一塁手を休ませる球団も多い中、この出場の安定感は大きなアドバンテージとなっている。
契約と今後の展望
オルソンは2022年にブレーブスと2029年までの8年・総額1億6800万ドルで契約を延長しており、今後数年は引き続きブレーブスの中軸を担う見込みだ。契約期間中の年齢は30代前半から半ばにあたり、一塁手としてのキャリアのピークと重なる時期でもある。
アクーニヤ・ジュニアやオースティン・ライリーらとともに構成されるブレーブスの打線は、2020年代後半もリーグ屈指の破壊力を維持すると期待されており、オルソンの本塁打数は今後も積み重なる可能性が高い。球団シーズン記録を塗り替えた2023年の実績を基準にすれば、通算本塁打で歴代の一塁手たちに並ぶ存在になることも、十分に現実的なラインと言えるだろう。
おわりに
マット・オルソンは、長打力・選球眼・守備力・耐久性という一塁手に求められる要素を高い水準で兼ね備えた、現代MLBを代表する選手の一人である。オークランド時代に攻守両面の実力を証明し、地元アトランタへの移籍を機にスケールを一段増し、2023年には本塁打王と打点王の二冠と球団記録を手にした。契約が残る2020年代後半も、ブレーブスの中軸として記録を積み重ねていく存在であり、日本からもMLB観戦やファンタジー baseball の観点で注目し続ける価値のある選手といえる。