6月の終わりにさかのぼると、2リーグ最多の22セーブをマークし救援王のトップを走るタナー・スコットに、メディアは「開幕直前の危機」を思い出させる質問を投げかけていた。マイアミ・マーリンズのジョシュ・シンプソンGMは3月初旬、この左腕投手にあえて過酷な選択肢を示した。
「契約を更新するか、トレードが不可避になるか」
昨シーズンはセーブ成功率わずか60%に落ち込み、41インングで34四球と制球難が露呈。ショースターターとして起用された2018年のデビュー時とは隔絶した信頼性の低下が、チーム首脳をこうした決断に追い込んだ。
しかし2024年、開幕直後から時速160kmの剛速球に磨きがかかる。相手打者の出塁率を.256から.136に圧縮する劇的な進化。救援失敗が2回のみと安定感を獲得し、6月には3救援失敗なしで9回を投げ抜いた。15.0の驚異的な三振率と防御率1.57を並べる姿は、まさに「救援投手界の至宝」との称賛にふさわしい。
フィールドの変化も興味深い。昨年まで揺れた制球力に抗うため、今年はスライダーの使用率を40%から約22%に削減。その代わりに時速158kmの直球を75%以上に増やしている。マウンドでこう語る。
「心を開いて素直な気持ちで腕を振り切るだけだ。昨季のような予測困難さは消えたんだ。今は球をとても楽しく投げていますよ」
7月に入ってもその輝きを失わない。対ラージョ・カージナレス戦で先発タウロン・ファンらが崩れた延長10回に危険を三連続三振で断ち切り、チームを勝利へ導くシーンは記憶に新しい。28日のMLBオールスターゲーム選出でその実力が公に認められるという事実を受け、マーリンズファンは「救援王の本命候補」が救援失敗からわずか3カ月でつかんだ奇跡的な復活劇を噛みしめている。
ターナー・スコットの武器庫
・直球:時速160kmの高目を支配
・スライダー:揺れる最後の一球への決め技
・変化率:伸びる球筋への完全移行
・集中力:投球数の増加とコントロール安定
・危機対応:1点差ゲーム防御率0.67
彼のシーズン半ばの成績はすべての球界関係者を驚かせたことは間違いないだろう。開幕前のGM交渉から4ヶ月。クラブハウスで落下を噂されたエースレスキューはその逆境を巨大花火へと変換している。チームのエース投手エバリーからも「我らが最後の大黒柱」と称賛される存在感が今季のマーリンズを支える。起用リスクを描かれながら160球の剛腕で描く復活劇はまだ続く。斯くてもスコットが自身のシナリオで救援王を射止める日は目前に感じている。