午後五時を回った神宮球場の外野スタンドは、木の階段に腰を下ろした人々の笑い声と、売り子が響かせるビールの呼び声でふんわりと包まれる。あの瞬間、スコアや順位表は遠い世界の話に思える。
明治神宮の杜に面したこの球場は、東京ドームのような人工的な迫力とは違う魅力を持っている。初めて訪れた人が驚くのは、試合の最中にも聞こえる鳥のさえずりや、木々が風に揺れる音かもしれ
夕方の風がグラウンドを横切ると、外野席の隅でまだ鳴り止まない応援の余韻がゆらぐ。初めて訪れた時、ここは単に「レトロな球場」あるいは「老朽化した施設」と感じられることもしばしばだ。だが、何度か足を運ぶうちに気づくのは、コンクリートや鉄骨の隙間から滲み出る熱の正体が、記録やタイトルではないということだ。それは何世代にもわたって同じ芝生を見つめてきた人々の息遣いが